【相談内容】 

 今回のご相談の内容は、相続と会社の株のことについてです。以前よりお取引させて頂いている、株式会社Aという法人様があります。その会社は代表取締役社長Aとその妻Bと子供Cで経営をされている株式会社で、株主はAが60%、B20%、C10%、D10%という構成になっています。

  今回Aが死亡し、被相続人A名義の自宅の土地建物と会社の株式(60%)と現金、預貯金が、相続財産であるとBCからご相談を頂き、早速調査を開始いたしました。

 戸籍関係の書類を集め、相続人の確定作業を完了し、上記の家族関係であることが確定しました。次は相続財産の調査ですが、調査の結果これもご相談の内容とほぼ変わらない結果でした。

 この場合Aは遺言書がなかったので共同相続人全員(BCD)の遺産分割協議が必要になります。ただ、Dは普段より素行が悪く、会社の経営には絶対に参加して欲しくないので会社の株式はBCで相続したいとの強い希望がありました。

【その後】

 後日にBCがDに対して、Aの相続財産の遺産分割協議を出来るようにお話に行くと案の定Dは高額の対価を要求してきたのです。会社経営に興味の無いDの言い分はこうです。「A相続財産につき、不動産や株式は要らない。その代わりに現金や預貯金の全てを相続したい。」この言い分に納得できないBCは自身の要望を通すために、当事者平行線のまま弁護士を紹介させて頂き遺産分割調停を申し出ることになりました。

【総じて・・・】

 今回の相続は弁護士介入のもとに無事にまとまりました。当職が危惧していたのが会社の議決権割合です。株式会社とは重要な議案は、株主総会で決議されることが多い為、当該株主総会で議決権を行使できる株主の持株割合が非常に重要視されます。つまり、会社の議決権の過半数を占める株主の株式を相続する場合は、遺産分割協議がまとまらなければ会社自体が株主総会の決議がきなくなる可能性がある事です。

 今回は持株数がBCあわせてもともと30%あり、Aの持株数の60%を相続すると過半数を超える割合に達していた事、さらに早い段階で遺産分割協議がまとまった事。これにより、会社の決議にも影響なく、会社の経営も無事に進めることが出来ました。

 今思えば、長期にわたり遺産分割の調停が長引いた場合は、今回の株式会社Aもずいぶんと困った状況になっていた事でしょうか。やはり、ここでも誰に株式を相続させるのかを遺言書で定めておくのが望ましと痛感した事件でありました。

 「相続は、争族より想族で・・・・・・」より良い想続をお手伝いさせて頂きます。