【相談内容】 

 以前の事ですが、売主であるAから土地の売買による登記の依頼がありました。売主のAが母Cから相続した土地を買主の甲に対して売却するので登記の名義変更をして欲しいという内容のものでした。依頼を受任させて頂き調査を開始しました。

【調査結果及び状況説明】

 依頼された土地の近隣の調査を進めると、売買の対象となっている土地の他に、裏の小さい土地が相続登記が未了でAの母親C名義で残っていることが判明しました。下記の図のようになります。

 Aの母であるC名義の土地である為、まずは相続の登記をしなければ、買主である甲名義に登記名義の変更はできません。したがって戸籍を収集し、相続人を確定する作業に入ります。その結果上記の相続関係図のように、Cの相続人がZ・Aであることが判明しました。

 次にZに連絡を取り、今回の売買の為、遺産分割の手続きに協力願いたい旨を申し出ると、Zは自身の言い分を主張しました。「Cが土地を購入した際に、Cに対して300万円のお金を貸した。遺産分割協議書にハンコ押すには、その300万円を返済して欲しい。」というものですZの主張もわかるのですが、裏の小さい土地にはとても300万円もの価値はありません。

 しかし、「Zは300万円を返済できないなら、もう話すこともない!」という強硬な姿勢を崩しません。

【結果】

 Zに対して、下記の事項を根拠に説明に伺いました。

①裏の小さい土地は2坪も満たない土地で、売却しても少々の金額にしかならない旨

②Cに対して金銭を貸した証拠がないので、返還請求権を証明することが難しい旨

③不動産を所有していると税金をわずかながら課税されてくるので、相続した持分を手放す

いい機会であること。

 こちらも粘り強く日参し説明を続けた事で、Zも内容をご理解頂き、とうとう遺産分割協議をして頂ける事になりました。

【総じて・・・】

 裏の小さい土地だけ、相続登記がなされていない事で買主である甲への登記が出来ないので、売買自体がずいぶんと遅れてしまいました。たとえ小さい土地であっても、登記手続き上、相続人の実印と印鑑証明書が必要になります。今回は単に相続した遺産の調査漏れが原因と推察できますが、一つの漏れだけで、ずいぶん遠回りしなければならなかった事案です。やはり調査だけでも専門家に依頼するのも大切かと思います。

 

 「相続は、争族より想族で・・・・・・」より良い想続をお手伝いさせて頂きます。