【お悩み】

 電話が鳴り、お客様Aから相続の件でご相談されたいとの内容でした。

約束の場所でお会いし、早速ご相談をお受けしました。その際の内容は、お母様(乙)の妹様(甲)が亡くなりました。甲は生涯未婚で、自身の子がおらず、兄弟姉妹しか身寄りがなかったそうです。ご依頼を頂き、手続きを進めていくと下記の相続関係説明図の事実が明らかになりました。

 相続実務では、はじめに相続手続きを進める上で非常に大切な作業の一つである「相続人の確定」という作業を行います。被相続人(今回では甲)の出生から死亡までの戸籍類を取得し、「だれが相続人になるのか?」を確定させます。

 今回の相談で、Aは当初ABの二人のみが甲の相続人となり、甲の遺産はABの二名で分けるものと考えておられました。しかし、上記の相続関係説明図のとおりCDEの三名も相続人であることがわかり、ABCDEの五名全員で遺産分割協議をする必要があることがわかりました。

 しかし、ABともCDEとは面識がなく、その存在も今回の手続きではじめて分かった事実であり、ずいぶんと困惑されていました。

 その後にCDEとも連絡をとり、甲の遺産について相続手続きを進める上で協力を頂けることとなりましたが、次はCDEの中でCとDEが絶縁状態であることが判明し、本件の遺産分割協議はさらに困難なものとなりました。

 つまり、ABとしては、面識もない共同相続人であるCDEと甲の遺産について話さなければならないとういう、心理的な負担が大きいこと。更にCとDEでも戊の相続で紛争があり、以前より絶縁状態であったことが、今回の手続きを進めるうえで困難となることが火を見るよりも明らかとなりました。

 その後色々とありましたが、結論としては、無事に遺産分割協議も完了し、事なきを得ました。その要因は①甲の遺産が預貯金が大半で分割しやすいこと、②さらに甲の相続人のABCDE全員が資産家であった為、金銭に余裕があり、遺産の取得に対してある程度の妥協は飲んで頂けたことの2点が大きいかと思います。

 ただ、「甲がABに財産を相続させる」旨の遺言書が一通あれば、と今でも思います。

【総じて・・・】

 相続手続きを考える上で、自身の相続人は誰なのか?自身の遺産をどうしたいのか?を改めて考えて頂き、見つめ直すのをおススメします。自身の身に万一のことがあった場合に、残された相続人が紛争とならないように想い考え、想族に努めるのも非常に大切かと思います。

 「相続は、争族より想族で・・・・・・」より良い想続をお手伝いさせて頂きます。